本堂落慶
これまでも多くのお寺様で、ご懇志や落慶法要に関する寺務のお手伝いをさせていただいてまいりました。
私はあくまで寺務のお手伝いですので裏方です。
落慶法要についても法要まで、または法要後が私の出番で、法要当日には出来る仕事は無く、お伺いすることはありません。
いつも思うことですが、ご住職のタイプは色々でも、この期間のご心労はお察しするに余るものがあります。
今でも覚えているのは、お寺のお手伝いを始めて一年くらい経った頃にお手伝いをした時の事です。
法要の一週間前に呼ばれてお伺いしてみると、ご住職は境内の草をしゃがんで抜いておられました。
「こんにちは!お世話になります!」
振り向いたご住職を見て驚きました。
髭ボーボーで眼がウツロでフラ〜っと立ち上がられて
「あぁ、都君。ありがとうな。」
聞けば、先週過労で倒れられたとの事。
いつも寡黙で穏やかで、下準備もきっちりされる方でも大きな事業ですから、ご心労も相当なものだったのでしょう。
以来、だいたい毎年どこかのお寺様の落慶法要のお手伝いをさせていただいてますが、いつもこの時のご住職様のお顔を思い出しながら、私でお役に立つ事は何でもさせていただいております。
さて、今年も11月23日に本堂落慶法要のお寺様をお手伝いしてまいりました。
こちらのお寺様は亡くなった私の恩人の菩提寺でもあります。
その方は、私がお寺様のお手伝いを始めるに当たって随分と力を貸してくださった、大切な恩人です。
落慶前日、法要のリハーサルが終わった後、こちらのお寺様より
「明日、やっぱりお寺に詰めといてもらえんかね?」
これまで裏方に徹してきた私として、どうしようか迷いましたが、それでご心配事がひとつ解消されるのであればと思い、お伺いさせていただくことにしました。
裏方ではちょっとした出来事もあり、お伺いしておいて良かったと思うこともありましたが、滞りなく進行していく法要を寺務所に居ながら、このお寺の長い軌跡の一場面に携ることが出来た事を嬉しく思いました。
おめでとうございます!